退職金目当ての教員大量退職の浅ましさ


問われる職業倫理

埼玉県で、2月1日から公務員の退職金が減額されることを前に
1月で「駆け込み退職」をする教職員が相次ぎ、その数は110名になるという。

中でも、お金のために退職を選ぶ教員のいることに失望し幻滅した。
1月といえば、まだ3学期の途中ではないか。
また、卒業を控えた時期ではないか。
それなのに、職に留まって子どもたちを見届けたり
授業の責任を果たすことよりも、
少しでも多い退職金を受け取るために退職をするとは。

公立校の教員は、日本では最も安定していて、給料もよい方である。
給料や退職金が不当に少ないならともかく、
これだけ恵まれている身でありながら、なお少しでも
多くのお金をもらうための退職に、浅ましさを感じる。
(埼玉県では、平均2430万円が2290万円に減額されるとのこと。
いずれの場合も、額として十分すぎるものではないか。NHK News Web 1.23)


施行の仕方にも疑問

同時に、退職金の減額が「2月」からという条例のあり方にも疑問を持つ。
多くの人が3月で退職する慣行の中で、その退職金を減らしたいというわけだろう。
それは生涯勤めてきたことへの報奨を最後の段になって突然減じることでもある。

退職金の減額は妥当な措置だと思うが、タイミングや影響を
考慮せずすぐに減らせばよいものでもない。

退職者の側から見れば、次年度から施行するならともかく、
あえて2ヶ月早めて退職直前に減額することこそ不当と感じる場合もあるだろう。

直前になって退職金を減額することにも、
それに対抗して早めに退職することにも、
その影響を受ける人に対する想像力の欠如を感じざるを得ない。


秋葉丈志
2013.1.23



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