ゴールデンウィークへの疑問:生産性妨げる祝日の多さ 教員として、毎年5月初めの「ゴールデンウィーク」明けに思うのは、 ゴールデンウィークが大学・学校の生産性の妨げになっていること、 この無駄をなくすことはできないだろうかということである。 大学は4月第一週まで春休み、入学式が4月8日前後で、その後に授業が始まる。 4月いっぱいは、3・4年生は就職活動で休みがちである。 そうした中でも残っている学生は新学期の意欲に溢れ、 徐々に授業のエンジンがかかり始める。 それをあたかもエンストの如く、すとんと落としてしまうのが、 ゴールデンウィーク休暇である。 毎年、ゴールデンウィーク明けの学生は、「休みぼけ」が目立つように思う。 予習の状況や授業中の反応も通常より疑問符が付く状況で、長時間授業準備に費やし、 エネルギーを奮い立たせて授業をやる身にとっては辛い。 もちろん「こっちは努力しているのに」というだけでは足らないことで、 悪条件下でも結果を残すこと、興味・意欲の湧く授業を展開することも プロに求められる資質だろう。 ただそれにしても、日本は世界でも際立って祝日の多い国。 振り替え休日などで変動があるが、年に16−18日の 祝日・関連休暇があり、先進国で最も多いという。 連続休暇に次ぐ連続休暇で、実質稼働日数は世界に遅れ、 特に大学や学校の生産性が鈍っているのではないかとも思う。 また、ゴールデンウィークで無駄にエンジンが切れたところから、 逆に7月末までは祝日や連休のない長期戦になる。 新学期が始まった途端に長期連休になるゴールデンウィークを廃し、 祝日を絞り込んだうえで一部を6,7月に分散できないものかと思う。 (もしくは学校を9月入学とし、5月で夏休みに入る暦にすれば、 ゴールデンウィークは学年末試験前の自習期間の位置づけになる。 但し試験の結果が散々になる可能性もある。) 社会的議論を望む。 参考:多い日本の祝日 「国民の祝日に関する法律」第2条では、下記のように祝日を定めている。 合計15日もある。 先進国の主流は10日前後、日本は5割増しである。 アメリカ:10日(連邦法による法定祝日) カナダ:9日(British Columbia州の法定祝日) ドイツ:9日(ベルリン市の場合。カトリック諸州では数日増える。) フランス:11日(国の法定祝日) 韓国:10日(国の法定祝日) そのうえ、祝日が日曜に当たる場合には平日に振り替え、 祝日に挟まれた日は休日にするとされていて(同3条)、 実際の休日の数はさらに増えることになる。 このことが「長すぎるゴールデンウィーク」を生む原因にもなっている。 <祝日法より> 元日 1月1日 年のはじめを祝う。 成人の日 1月の第2月曜日 おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。 建国記念の日 政令で定める日 建国をしのび、国を愛する心を養う。 春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。 昭和の日 4月29日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。 憲法記念日 5月3日 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。 みどりの日 5月4日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。 こどもの日 5月5日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。 海の日 7月の第3月曜日 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。 敬老の日 9月の第3月曜日 多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。 秋分の日 秋分日 祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。 体育の日 10月の第2月曜日 スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。 文化の日 11月3日 自由と平和を愛し、文化をすすめる。 勤労感謝の日 11月23日 勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。 天皇誕生日 12月23日 天皇の誕生日を祝う。 秋葉丈志 (2012.5.7)(5.27データ追加) 戻る