違和感覚える大臣の宮中晩餐会欠席 一川保夫防衛大臣を含め複数の閣僚が、16日にブータン国王を招いて 開かれた宮中晩餐会を欠席したという。中でも防衛大臣は、民主党議員の 政治資金集めパーティを優先したうえ、「晩餐会を欠席してきた、 こちらの方が大事」という趣旨の発言をしたと報じられている。 このことに違和感を覚える。 私自身は、日頃はあまり儀礼的なことは好まない。 しかし、他国の国王を招き、日本の皇室が開く晩餐会は、 主催者、招かれた客、いずれをとっても最重要の行事のはずである。 そして、大臣という公職にある限りは、招く側の一員であり、 好きと嫌いとに関わらず、職務上、国を代表して、歓待すべき立場である。 最近、ある要人に同行する通訳を務める機会があった。 訪問する先々で、居合わせた人々がすべて立ち上がって拍手を している。それは、個人的に客と縁があるかとか、それに対して どう思うか、ということに関わらず、賓客に対して示す姿勢なのだと 思うし、形式的・儀礼的とわかっていても、そうして受け入れられた方は うれしく感じるのだと思った。むしろ、その最低限の形式さえ 踏めないとすれば、客に対して失礼なのではないかと思った。 防衛大臣にしても、立場を逆にして考えてみたらよいと思う。 大臣が公式に外国を訪問したとする。 それに対して、その国の大臣が「いま日本の大臣の晩餐会が開かれているが、 欠席した。こっちの用の方が大事だ」と発言したらどう思うか。 気分を害するだろうし、その国に対する印象も悪くなるのではないだろうか。 しかも、今回の晩餐会の相手方は他国の元首である。 日本の元首に対して、どこかの国の大臣がそういう発言をしたら、 日本の政治家はどう反応するのだろうか。 今回のことでまた大臣がすぐ交代、ということまではしてほしくはない。 しかし民主党の議員には、どこか公職という意識が低く、 私的感情のまま、野党時代のマインドセットのまま、行動をしている 例が散見されるように感じる。国を代表するという意識をもう少し持ってほしい。 (2011.11.19 秋葉丈志) 戻る